染物屋「貴久」は、古民家をリノベーションしたお店です。
古民家…というより、長屋といった方が近いでしょうか。
大阪府池田市にある、長屋が連なる一角に、草木染めを扱うお店として、オープンしております。
実は、お店としてだけではなく、自宅としても、実際に住んでいるのですが、
「古民家に住む」というのは、普通の家に住むのとは、やっぱりちがうなぁと、日々感じております。
そこで、私が実際に住んで気づいた、古民家リノベーションに住むメリットとデメリットについて、ご紹介したいと思います。
古民家リノベーションに住むメリットとは?
私が実際に住んでみて感じた、古民家リノベーションに住むメリットを4つご紹介します。
●外観がオシャレ!
古民家は、やっぱり見た目がオシャレですよね。
新しい住宅も、もちろんキレイで素敵ですが、
古民家には、古民家にしかない独特の魅力があります。
古くて大きな木の柱、瓦屋根、白い土塗りの壁、引き戸の扉のガラガラする音…
もちろんリノベーションしていますので、壁を塗り直したり、傷んだ木は交換したりしています。
古い部分は残しつつ、私たちのような現代人も生活しやすいように、作り直す。
古き良き日本の風景が、そのままタイムスリップしたような外観は、見ているだけで、どこか落ちつくような、不思議な魅力があります。
●建具にもこだわりが!
オシャレなのは、外観だけではありません。
玄関には、土間の雰囲気が残っていたり、部屋を区切る引き戸には、かわいい模様のすりガラスが張ってあったり。
むき出しの電球や、ふすまの模様など、いろんなところに、昭和の古い雰囲気が残っていて、
古民家らしい魅力が、ぎゅっと詰まった家。
イマドキの洗練されたオシャレ感はありませんが、まるで、おばあちゃんの家にいるような、ほっと落ち着く空間なんです。
●お風呂やキッチンは使いやすい!
見た目は、「THE 古民家」ですが、
リノベーションしていますので、お風呂やキッチン、トイレなどの水回りは、使いやすく作り変えられています。
いくら古民家が好きでも、お風呂が五右衛門風呂だったり、キッチンに釜が置いてあったりすると、やっぱり住みにくいですよね。
実際に住んでいると、より感じることですが、
水回りは、現代風の使いやすい仕様になっていると、ものすごく生活しやすいです。
●夏は涼しい!
古民家は、昔ながらの家の作りになっていますので、風通しが良く、夏はとても涼しいです。
昔は、クーラーなんてなかったので、家の作りで、暑さをしのぐ工夫をしていたんですね。
おかげさまで、夏はとても快適に過ごしております。
さすがに、真夏の日中はクーラーをつけますが、夜寝るときにはクーラーは必要ありません。
風通しが良いので、肌寒いと感じる日もあるくらいです。
古民家リノベーションに住むデメリットとは?
古民家に住むことは、メリットばかりではありません。
私も、実際に住むまでわからなかったんですが、デメリットもあるんです。
●冬は寒い!
古民家は、夏は涼しいんですが、その反面、冬は寒いです。
風通しが良いので、外の冷気がひんやりと入ってきます。
池田市は、大阪の北の方にあるので、余計に寒く感じるのかもしれませんが…
こたつや暖房で過ごしたり、できるだけ、ふすまや扉を閉めて、寒さをしのいでいます。
●鍵が開けにくい!
「貴久」の玄関は、木製の引き戸です。
サザエさんの家のように、横にガラガラッと開くんですが、
実は、鍵がとても開けにくいんです。笑
現代の家の鍵のように、ガチャっとまわして開くタイプではなくて、
クルクルと何度もまわして、開くようになっています。
もちろん、閉めるのも同様で、とても閉めにくい…
今では随分慣れて、コツを掴むことができましたが、まだ住み始めの頃は、鍵を閉めるのに随分時間がかかってしまいました。
ふだんは別に構わないんですが、急いでいるときには、少し困ってしまいます。
●強度が心配…
古民家なので、やはり強度は心配です。
リノベーションしているとはいえ、家の骨組みまで変えているわけではないので、
現代の家に比べると、それほど頑丈ではないのかなぁと思ってしまいます。
でも、もう何年も前に、建てられた家。
長い年月のあいだ、地震や強風、嵐などもあったことでしょう。
そんな災害にも、じっと耐えてきた家ですので、ちょっとやそっとのことでは壊れないのかなぁとも、思っています。
「古民家に住む」意味ってなんだろう?
「古民家に住むこと」は、一見オシャレに見えますが、もちろん、いいことばかりではありません。
デメリットのことを考えると、新しく作られた家に住む方が、何倍も過ごしやすいのかもしれない。
では、なぜ今「古民家に住む」人が増えているのでしょうか。
オシャレだから。
人と違うから。
そういった理由もあるでしょうが、私は、
「昔の人が残したものを、私達が受け継いでいく」
そんな意味もあるのではないかなぁと、思っています。
古民家には、日本の風土や生活に根付いた知恵が、たくさん詰まっています。
強度の高い木の組み方、日差しを遮断する白い壁、風通しの良い設計、伝統的な美しさ。
「古民家は古いものだから」と、全て壊してしまわずに、
「良いものは残して、未来に受け継いでいく」ことも、大切なことではないでしょうか。
「貴久」は、そんな古民家の魅力を十分に感じ取れる場所です。
古き良き日本の風景と、草木からもらった色で、ていねいに手染めした服や小物。
長屋が連なる一角は、それこそタイムスリップしたかのような雰囲気です。
阪急池田駅から、徒歩10分もかからない場所にある、不思議な空間。
ぜひ、一度ご体感してみてはいかがでしょうか。
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